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秋の七草とは、日本の秋を代表する7種類の草花を指し、古くから季節を感じるために親しまれてきました。春の七草が食用として無病息災を祈るために使われるのに対し、秋の七草はその美しさを鑑賞するための草花です。万葉集にも詠まれた「萩」「尾花(ススキ)」「葛」「撫子」「女郎花」「藤袴」「桔梗」の7つの草花は、季節の移ろいを感じさせ、日本の秋の風情を象徴しています。本記事では、秋の七草の由来やそれぞれの草花の特徴、楽しみ方について詳しく解説します。
- 秋の七草とは何か、その由来と歴史
- 秋の七草に含まれる7つの草花の特徴
- 春の七草との違いや用途の違い
- 秋の七草の覚え方や鑑賞方法
秋の七草とは?その由来と意味
秋の七草とは、秋を代表する7種類の草花を指し、古代から日本で親しまれてきました。これらの草花は食べるためではなく、鑑賞してその美しさを楽しむものです。秋の七草には、「萩(はぎ)」「尾花(おばな、ススキの別名)」「葛(くず)」「撫子(なでしこ)」「女郎花(おみなえし)」「藤袴(ふじばかま)」「桔梗(ききょう)」が含まれます。
秋の七草の由来は、奈良時代に編纂された『万葉集』にまで遡ります。歌人である山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ2首の和歌が始まりとされています。その和歌の中で、秋の野に咲く7つの草花が美しく詠まれ、その後、これが「秋の七草」として広まったのです。
一方、春の七草は1月7日に七草粥として食べ、健康を祈願する行事に用いられますが、秋の七草は主に観賞用で、食用ではありません。この違いが、春の七草と秋の七草を区別する大きなポイントとなります。
秋の七草は、古来より人々に季節の移り変わりを知らせる存在であり、現代でも日本の自然美を象徴するものとして広く認識されています。これらの草花を通して、日本の秋の風景をさらに深く味わうことができるでしょう。
秋の七草には何がありますか?
秋の七草には、以下の7つの草花があります。それぞれの植物には独自の特徴があり、日本の秋を彩る草花として古くから親しまれてきました。
- 萩(はぎ)
萩は、マメ科の植物で、7月から10月にかけて小さな赤紫色の花を咲かせます。秋を代表する花として「おはぎ」の名前の由来にもなっています。昔から庭木や家紋のデザインにも使われ、親しまれてきました。 - 尾花(おばな)
尾花はススキの別名で、動物の尾のように見えることからその名前がつきました。秋の風景に欠かせない存在で、お月見の際にススキを飾る風習があります。風に揺れる姿が特徴的です。 - 葛(くず)
葛は、つる性の植物で、夏の終わりから秋にかけて紫色の小さな花を円柱状に咲かせます。食用や薬用としても広く使われており、特に葛粉や葛根湯として親しまれています。 - 撫子(なでしこ)
撫子は、日本固有の花で、7月から10月にかけて淡いピンク色の花を咲かせます。「大和撫子」という言葉が示す通り、清楚で可憐な日本女性の象徴とされています。 - 女郎花(おみなえし)
女郎花は、6月から10月に黄色い小花をたくさん咲かせる多年草です。古代から美しい花として詩や歌に詠まれており、その美しさが人々を魅了してきました。また、薬草としての利用も知られています。 - 藤袴(ふじばかま)
藤袴は、淡い紫色の小さな花を房状に咲かせる草花で、8月から9月にかけて開花します。乾燥させると桜餅のような香りがすることから、香料や洗髪料としても利用されていました。現在では絶滅危惧種に指定されています。 - 桔梗(ききょう)
桔梗は、6月から10月に青紫や白い星形の花を咲かせます。昔から家紋にも用いられた植物で、根は去痰や鎮咳作用のある薬草として利用されてきました。現在、野生の桔梗は少なく、絶滅危惧種となっています。
これら7種類の草花は、日本の秋を代表する風物詩として、美しさと歴史を感じさせる植物です。それぞれが異なる特徴を持ちながら、秋の風景に深い彩りを添えています。
秋の七草の由来と万葉集
秋の七草の由来は、奈良時代に編纂された『万葉集』に収められた2首の和歌にあります。これらの和歌を詠んだのは、歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)で、彼の歌が秋の七草の基礎となり、広く知られるようになりました。
山上憶良が詠んだ2首の和歌は以下の通りです。
- 「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
- 「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
最初の和歌は、秋の野に咲いている草花を数えると7種類があったことを詠んでおり、次の和歌で具体的にその7種類の草花を挙げています。ここで詠まれている「朝貌の花」は、現在の「朝顔」ではなく、キキョウ(桔梗)のこととされています。
秋の七草が選ばれた理由として、これらの植物は古代の日本人が秋を楽しみ、季節の移ろいを感じるために親しんでいた草花だったことが挙げられます。また、これらの草花には美しさだけでなく、薬草としての効能や実用的な価値もあったため、人々の生活に根付いていたのです。
一方で、春の七草が「七草粥」に使われ、無病息災を祈る行事食として知られているのに対し、秋の七草は鑑賞用で、食用にはされていません。これは、秋の七草が主にその美しさを愛でるための草花であったことから、風景や自然を楽しむための象徴として定着したからです。
このように、万葉集に詠まれた秋の七草は、古代から現代まで日本の季節の移ろいを感じさせる大切な文化的要素として残っているのです。
秋の七草と春の七草の違い
秋の七草と春の七草は、どちらも「七草」と呼ばれますが、その目的や使われ方には大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解すると、季節の行事や文化的背景がより深く感じられるでしょう。
まず、秋の七草は、「萩(はぎ)」「尾花(おばな、ススキの別名)」「葛(くず)」「撫子(なでしこ)」「女郎花(おみなえし)」「藤袴(ふじばかま)」「桔梗(ききょう)」の7種類の草花を指します。これらの草花は鑑賞用であり、食べることは目的ではありません。秋の七草は、季節の移り変わりを感じ、自然の美しさを楽しむための象徴的な植物で、主に見て楽しむことが重視されます。
一方、春の七草は「セリ」「ナズナ」「ゴギョウ」「ハコベラ」「ホトケノザ」「スズナ(カブ)」「スズシロ(大根)」の7つの植物です。春の七草は、1月7日の「人日の節句」に食べる「七草粥」の材料として用いられます。この行事は、無病息災を祈願するもので、古くから新年の健康を願う日本の伝統的な風習です。また、春の七草は冬の間に不足しがちな栄養を補うために、野草や初物の若菜を食べるという意味合いもあります。
違いをまとめると:
- 目的の違い
- 秋の七草は観賞用で、季節の美しさを楽しむことが目的です。
- 春の七草は食用で、七草粥として無病息災を祈る行事に使われます。
- 植物の種類の違い
- 秋の七草は花を中心とした草花が選ばれており、季節感を強調します。
- 春の七草は食べられる野菜や草で、栄養価を補うために用いられます。
- 行事や文化的背景の違い
- 秋の七草は、古代から自然の美しさを鑑賞するための存在で、万葉集の歌にも詠まれるなど、日本文化に深く根付いています。
- 春の七草は、1月7日の七草粥という行事に結びつき、健康を祈るための重要な食文化となっています。
これらの違いを知ることで、秋と春それぞれの季節の行事をより深く楽しむことができるでしょう。
秋の七草はいつから親しまれている?
秋の七草が親しまれるようになったのは、奈良時代に遡ります。特に、山上憶良(やまのうえのおくら)という歌人が『万葉集』に詠んだ和歌がその起源とされています。この和歌がきっかけとなり、秋の七草は日本の文化の中で広まり、季節を感じる象徴的な植物として親しまれるようになりました。
奈良時代、自然の草花は生活や文化と深く結びついていました。特に貴族や歌人たちの間で、季節の移り変わりを詠むことが重要視されており、秋の七草もその一環として注目されたのです。山上憶良が詠んだ2首の和歌では、秋の野に咲く7つの草花が美しく表現されており、それが現代の秋の七草の由来となっています。
平安時代以降、貴族文化の中でさらに秋の七草は重要視され、和歌や絵画に取り入れられるなど、日本の季節を表す風物詩としての地位を確立しました。秋の七草は、秋を感じる草花として詩や物語の中でも取り上げられ、次第に庶民の間でも親しまれるようになりました。
このように、秋の七草は奈良時代から約1300年もの間、日本人に愛され続けています。現代においても、季節の移ろいを感じる象徴として、日本の自然美を楽しむ大切な要素として親しまれているのです。
秋の七草に含まれる草花の特徴
秋の七草に含まれる草花は、それぞれが独自の特徴を持ち、秋の風景を彩ります。以下に、秋の七草に含まれる7種類の草花の特徴を紹介します。
1. 萩(はぎ)
萩はマメ科の植物で、7月から10月にかけて赤紫色の小さな花を咲かせます。風にそよぐ姿が優美で、秋の野を象徴する草花の一つです。名前の由来は「生え木(はえぎ)」が変化したものとされ、秋の彼岸に供えられる「おはぎ」の由来にもなっています。荒れ地にも強く、庭木や生け垣としてもよく見られます。
2. 尾花(おばな/ススキ)
尾花とは、ススキのことを指します。動物の尾に似た穂を風に揺らし、秋の風景に欠かせない存在です。ススキは、秋の月見の際に飾られることが多く、古くから日本人に親しまれています。ススキは生命力が強く、どんな環境でも群生する特徴を持っています。
3. 葛(くず)
葛はマメ科のつる性植物で、夏の終わりから秋にかけて紫色の花を咲かせます。つるが木々や地面に這うように広がり、大型の植物として存在感があります。葛の根からは「葛粉」が採れ、葛餅や葛湯、葛根湯としても利用され、薬用や食用としても古くから重宝されています。
4. 撫子(なでしこ)
撫子は、淡いピンク色の可憐な花を咲かせる草花で、秋の七草の中でも特に女性的な美しさを象徴しています。日本女性の清楚さを表す「大和撫子(やまとなでしこ)」の名の由来にもなっており、その清楚で可憐な姿が古くから愛されています。7月から10月にかけて開花します。
5. 女郎花(おみなえし)
女郎花は黄色い小さな花を多数咲かせる多年草です。6月から10月にかけて開花し、遠くから見るとふわっとした姿が特徴です。名前の由来には諸説あり、粟飯(おみなめし)に似た形から「女郎花」と呼ばれるようになったという説や、美しさが女性を圧倒するという意味から名付けられたという説があります。薬草としても利用され、鎮痛や解毒の効果が知られています。
6. 藤袴(ふじばかま)
藤袴は淡紫色の小花を房状に咲かせ、8月から9月が見頃です。名前の由来は、花の形が筒状で袴に似ていることに由来します。かつては日本各地で見られたものの、近年は絶滅危惧種に指定されており、野生の藤袴を目にする機会は少なくなっています。乾燥させると桜餅のような香りがし、かつては香水や洗髪料にも用いられていました。
7. 桔梗(ききょう)
桔梗は青紫や白の星形の花を咲かせる多年草で、6月から10月にかけて見頃を迎えます。その美しい花形から、武将たちの家紋にも用いられた歴史があります。桔梗の根は「桔梗根(ききょうこん)」として漢方薬にも使われ、咳や痰を鎮める効果があるとされています。桔梗もまた、絶滅危惧種に指定されている植物です。
これら7つの草花は、いずれも日本の秋を象徴するものであり、それぞれが異なる魅力を持ちながら秋の風景に彩りを加えています。日本の自然や文化を深く感じさせる存在として、今も多くの人に愛され続けています。
秋の七草の時期と鑑賞方法
秋の七草が見られる時期はいつ?
秋の七草が見られる時期は、8月下旬から10月頃が一般的です。秋の七草は、それぞれの植物によって開花時期が異なりますが、秋の訪れを感じさせる草花として、旧暦の秋(7月から9月)に咲くことが多いです。現在の暦では、夏の終わりから秋の中頃にかけてが見頃となります。
具体的には、以下のように各草花の開花時期が分かれています。
- 萩(はぎ):7月~10月頃に赤紫色の花を咲かせます。
- 尾花(おばな/ススキ):8月~10月にかけて、動物の尾に似た穂を出します。
- 葛(くず):8月~9月にかけて、紫色の花を咲かせます。
- 撫子(なでしこ):7月~10月にピンク色の花が見頃です。
- 女郎花(おみなえし):6月~10月に黄色い小花を咲かせます。
- 藤袴(ふじばかま):8月~9月に淡紫色の花が開花します。
- 桔梗(ききょう):6月~10月に青紫色の星形の花を咲かせます。
秋の七草は、各地で自然の風景を彩りますが、都市化や環境の変化により、野生のものを見る機会が少なくなっています。自然の中でこれらの草花を楽しむ場合は、山や公園、川沿いなどで探すと見つけやすいでしょう。また、生花店や庭での育成によっても、季節を楽しむことができます。
特に、中秋の名月(旧暦の8月15日、現代では9月頃)には、ススキや他の草花を飾って楽しむ風習があります。この時期に合わせて秋の七草を鑑賞するのも、日本の秋ならではの楽しみ方です。
秋の七草の花言葉と特徴
秋の七草には、それぞれ独自の特徴と花言葉があります。これらの草花は、ただ美しいだけでなく、古来から日本の文化や人々の感情を表現する象徴として親しまれてきました。以下に、秋の七草の花言葉と特徴を紹介します。
1. 萩(はぎ)
花言葉: 思案、内気、想い、前向きな恋、柔軟な精神
特徴: 萩はマメ科の植物で、7月から10月にかけて小さな赤紫色の花を咲かせます。荒れ地にも強く、庭木や生け垣としても広く栽培されています。「おはぎ」の名前の由来にもなった秋の代表的な草花です。風にそよぐ姿が優美で、日本の秋の風景には欠かせない存在です。
2. 尾花(おばな/ススキ)
花言葉: 勢力、生命力、活力、隠退、悔いなき青春
特徴: ススキはイネ科の植物で、「尾花」という別名があります。8月から10月にかけて白い穂が風に揺れる姿が特徴的です。ススキの穂が動物の尾に似ていることから、その名前がつきました。秋の月見には欠かせない植物で、秋の風情を象徴する草花の一つです。
3. 葛(くず)
花言葉: 治療、活力、根気、努力、芯の強さ
特徴: 葛はつる性の植物で、8月から9月にかけて紫色の小さな花を円柱状に咲かせます。根から取れる葛粉は、葛餅や葛湯として利用されるほか、漢方薬の葛根湯としても親しまれています。日本の薬用植物としても非常に古い歴史を持つ草花です。
4. 撫子(なでしこ)
花言葉: 純愛、無邪気、思慕、貞節、才能、大胆
特徴: 撫子は、7月から10月にかけてピンク色の小さな花を咲かせます。「大和撫子」という言葉が示す通り、日本の女性らしさを象徴する花として、古くから親しまれています。清楚で可憐な姿が、特に平安時代の貴族文化の中で愛されていました。
5. 女郎花(おみなえし)
花言葉: 美人、親切、はかない恋、心づくし、約束を守る
特徴: 女郎花は、6月から10月にかけて黄色い小さな花を多数咲かせます。遠目から見ると、ふわっとした印象で非常に優雅です。漢字の「女郎花」の名前の由来には諸説ありますが、その美しさが女性を圧倒するという意味も含まれています。また、薬草としても解熱や解毒に用いられていました。
6. 藤袴(ふじばかま)
花言葉: 躊躇、遅延、思いやり、優しい思い出
特徴: 藤袴は淡い紫色の小さな花を房状に咲かせ、8月から9月に見頃を迎えます。藤色の花弁が袴(はかま)に似ていることから、その名前がつけられました。乾燥させると桜餅のような甘い香りがし、かつては香水や洗髪料としても使われていましたが、現在では絶滅危惧種に指定されています。
7. 桔梗(ききょう)
花言葉: 清楚、気品、誠実、従順、変わらぬ愛
特徴: 桔梗は6月から10月にかけて、青紫や白の星形の花を咲かせます。昔から家紋にも用いられた植物で、根は漢方薬としても使われ、咳止めや去痰薬としての効果があります。特に美しい花形が多くの人に愛され、現代では絶滅危惧種に指定されています。
これらの草花は、ただ秋を彩るだけでなく、それぞれが持つ花言葉も豊かな意味を持ち、日本の文化や人々の感情と深く結びついています。秋の風物詩としての価値はもちろん、花言葉を知ることで、より深く秋の七草を楽しむことができるでしょう。
秋の七草を楽しむ方法
秋の七草を楽しむ方法は、草花の美しさや季節の移ろいを感じるためのさまざまな工夫があります。これらの草花は、鑑賞用として古くから親しまれており、現代でも日本の秋を楽しむための象徴的な存在です。ここでは、秋の七草を楽しむための具体的な方法を紹介します。
1. 自然の中での鑑賞
秋の七草はもともと野に咲く草花なので、自然の中で鑑賞するのが最も本来の楽しみ方です。秋の風を感じながら散策し、ススキや萩、撫子などを自然の中で見つけることで、季節の移り変わりを実感することができます。公園や里山、河原などに足を運び、秋の七草を探しながら自然を楽しむのが一つの方法です。
2. お月見に取り入れる
秋の七草は、中秋の名月の風習と密接に関係しています。中秋の名月(旧暦の8月15日、現代では9月頃)には、ススキを中心に秋の七草を飾って月を鑑賞する習慣があります。自宅でお月見を楽しむ際に、花瓶にススキや他の七草を飾り、家族で月を眺めながら過ごすことで、伝統的な秋の風情を感じることができるでしょう。
3. 室内に飾って楽しむ
野外に出られない場合や、気軽に秋の七草を楽しみたい場合は、生花店でススキや桔梗、撫子などを購入し、花瓶に飾ることがおすすめです。秋の七草は、華やかさとともに落ち着いた色合いが多く、部屋に飾ることで静かな秋の雰囲気を演出できます。特に、リビングや玄関に飾ると、家全体に季節感が広がります。
4. 庭やベランダで育てる
ススキや桔梗、撫子など、秋の七草の一部は自宅の庭やベランダで育てることも可能です。秋の訪れとともにこれらの植物が花を咲かせるのを観察することで、自然の移ろいを間近で感じられます。園芸を楽しむことで、日々の生活に季節感を取り入れることができ、育てる喜びも味わえます。
5. 秋の風景を楽しむイベントに参加
地方によっては、秋の七草をテーマにしたイベントや催しが開催されることもあります。例えば、秋の七草を展示した花のイベントや、自然公園で行われる秋の七草を巡る散策ツアーなどがあります。こういったイベントに参加すると、専門家の解説を聞きながら七草の歴史や特徴を学ぶことができ、より深く秋の七草を楽しむことができます。
6. 秋の七草を詠んだ詩や文学を楽しむ
秋の七草は、古代から日本の詩歌に詠まれています。『万葉集』に登場する山上憶良の歌をはじめ、多くの和歌や俳句に秋の七草が詠まれています。これらの詩歌を読みながら、草花を眺めることで、文学的な側面から秋の七草を楽しむことも可能です。日本の伝統文化に触れるひとときとして、詩歌とともに秋の草花を感じるのも一興です。
秋の七草は、季節を感じ、自然の美しさを味わうための象徴的な草花です。自然の中での散策やお月見、家で飾ること、育てること、さらには文学を通じて楽しむなど、多彩な楽しみ方があります。これらを通じて、日本の秋の風情をより深く味わいましょう。
秋の七草の覚え方は?
秋の七草は、覚えにくいと感じる方も多いかもしれませんが、いくつかの覚えやすい方法があります。これらの方法を使うと、七草の名前を簡単に思い出すことができるようになります。ここでは、秋の七草の代表的な覚え方をいくつか紹介します。
1. 語呂合わせで覚える方法
語呂合わせを使うと、頭文字を基に覚えやすくなります。秋の七草の頭文字を組み合わせた語呂合わせは、以下の2つが有名です。
- 「おすきなふくは?」
「おすきなふくは?」というフレーズを使って覚える方法です。 - お = オミナエシ(女郎花)
- す = ススキ(尾花)
- き = キキョウ(桔梗)
- な = ナデシコ(撫子)
- ふ = フジバカマ(藤袴)
- く = クズ(葛)
- は = ハギ(萩)
- 「ハスキーなお袋」
「ハスキーなお袋」という語呂合わせもよく使われます。こちらも秋の七草の頭文字を使って覚える方法です。 - は = ハギ(萩)
- す = ススキ(尾花)
- き = キキョウ(桔梗)
- な = ナデシコ(撫子)
- お = オミナエシ(女郎花)
- ふ = フジバカマ(藤袴)
- く = クズ(葛)
これらの語呂合わせは、簡単なフレーズにすることで暗記しやすくなり、お子さんに教える際にも活用できます。
2. 五・七・五のリズムで覚える方法
日本の詩歌に使われる五・七・五のリズムを使って、リズム良く七草の名前を繰り返すと覚えやすくなります。例えば、次のようなフレーズです。
「ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ オバナ・ナデシコ」
このリズムで口ずさむと、自然に七草の名前が記憶に残ります。詩歌のリズムに慣れている方や、音で覚えるのが得意な方には特に効果的です。
3. 万葉集の和歌を使って覚える方法
秋の七草は、奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ和歌に由来します。この和歌を使って覚える方法もあります。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
この和歌を繰り返し読むことで、自然と七草が覚えられます。特に、日本の伝統や詩歌に親しみたい方には、万葉集の和歌を使って覚えるのはおすすめです。
秋の七草を覚えるためには、語呂合わせや五・七・五のリズム、さらには万葉集の和歌を使うなど、さまざまな方法があります。自分に合った方法を見つけて、楽しく秋の七草を覚えてみてください。これにより、季節の風物詩として秋の七草をより身近に感じることができるでしょう。
まとめ
- 秋の七草は、鑑賞を目的とした7種類の草花のこと
- 「萩」「尾花(ススキ)」「葛」「撫子」「女郎花」「藤袴」「桔梗」が秋の七草に含まれる
- 奈良時代に編纂された『万葉集』が秋の七草の由来である
- 山上憶良が詠んだ和歌が秋の七草の始まりとされる
- 秋の七草は観賞用であり、食べることは目的ではない
- 春の七草は食用として無病息災を祈るが、秋の七草は鑑賞用である
- 萩は秋を代表する草花で、赤紫色の小花を咲かせる
- 尾花(ススキ)はお月見に欠かせない草花である
- 葛は紫色の小花を咲かせ、葛粉や薬用として利用されてきた
- 撫子は「大和撫子」として日本女性の象徴とされる
- 女郎花は美しさと薬草としての効能を持つ草花である
- 藤袴は淡紫色の花を咲かせ、絶滅危惧種に指定されている
- 桔梗は家紋にも使われた植物で、根は薬草として利用されてきた
- 秋の七草は、8月下旬から10月頃に見頃を迎える
- 語呂合わせ「おすきなふくは?」などで簡単に覚えられる
秋の七草は、日本の秋を代表する7種類の草花を指し、万葉集に詠まれた「萩」「尾花(ススキ)」「葛」「撫子」「女郎花」「藤袴」「桔梗」が含まれます。これらは食用ではなく、鑑賞を目的とした草花であり、自然の美しさを楽しむために古くから親しまれてきました。春の七草が健康祈願のために食べられるのに対し、秋の七草は見て楽しむものです。また、秋の七草には、それぞれ独自の特徴や花言葉があり、日本の秋の風情を象徴する草花として知られています。